木曽路はすべて山の中〜山を守り 山に生きる〜

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中山道小旅行〜木曽福島・木曽馬の故郷“開田高原”歴史を辿る旅

このモデルコースを教えてくれた人
長桶エリカさんが紹介します
シンガポール人の母と日本人の父を持ち、現在オーストラリア在住。
『ラグジュアリー旅』を主とするトラベルライターとして日本と海外を行き来し、
その地ならではのローカル情報をSNSで発信している。

中山道小旅行〜木曽福島・木曽馬の故郷“開田高原”歴史を辿る旅

江戸へ繋がる道がここ、木曽路にありました。また平成29年5月国道361号に全長1981メートル、高根トンネルが開通。高山と木曽のアクセスが改善、御嶽山・ダム湖・四季折々の植物を楽しみながらのドライブも楽しめるように。古くから似た文化を持ち強い結びのある高山と木曽。今回は長期国内旅の途中で木曽福島から開田高原へと、木曽の歴史・味覚・伝統工芸品を通して、江戸の香りが現代へと残る日本遺産木曽路をご紹介します。

木曽が誇る大きな遺産、江戸時代木曽を治めた山村代官屋敷

木曽福島駅より出発、江戸の香りが残る木曽福島の宿場を街歩き。木曽11宿中の5番目の宿場です。徒歩15分程、木曽の大きな遺産山村代官屋敷へ辿り着きます。ガイドをしてくださった川村さんに代官山村家の歴史をお伺いしながら屋敷を回りました。江戸時代274年間木曽路を治め、木曽馬、400年の歴史を誇る曲げ物、漆器などの工芸品や木材加工、養蚕、生糸業、更に御嶽修験者から地元の人々に伝わった百草など多くの地場産業を奨励。人々の暮らしを支え、私たちの生きる今にも伝わっています。屋敷内には山村家の文化資料・所蔵品等が展示、当時の物語を語り続けています。現存しているのは当時の3分の1程、下屋敷の一部と庭園のみ。木曽駒ヶ岳を借景とした築山泉水式の美しい庭園、その目の前にある山村蘇門の家臣・学友であった石作駒石の書斎「翠山桜」は見どころです。また代官家を守る山村稲荷のご神体「御狐様のミイラ」が祀られています。江戸時代の建物や物がそのまま残る山村代官屋敷、守り続けるべき遺産なのだと実感しました。

木曽の地形を活用した日本4大関所の『福島関所』

再建したとは思わせない当時の面影をそのまま残した福島関所、街並みの眺望が良い位置にあります。現在で言うイミグレーション。木曽谷のほぼ中央、丘の上に位置し、下には木曽川が流れていて逃げ場のない立地。関所にはうってつけの場所でしょう。木曽の地形をうまく利用してますね。支配したのは木曽代官山村家でした。江戸時代の五街道整備の際に設けられた関所は、日本4大関所(碓氷、箱根、今切)の1つと言われています。ここでは武器の江戸への持込み(入鉄砲)、江戸にいる大名の妻子の脱出(出女)の検閲が行われていました。風光明媚な通り道も当時の人々はどのような気持ちで通行したのでしょうか。

小説『家』のモデル、文豪・島崎藤村の縁の地

福島関所から少し先に行くと高瀬家があります。「木曽路はすべて山の中である」で有名な文豪島崎藤村の姉である園の嫁ぎ先です。山村代官の家臣でもあり代々関所番を務めました。藤村の小説『家』のモデルとなっていることでも有名。昭和2年この辺りは大火があり高瀬家は土蔵以外大被害を受けたとおっしゃる高瀬家の子孫、熊谷さん。現在はコンクリート2階建ての資料館、藤村の遺品類・手紙・軸や、藤村が三男を小学校時代高瀬家に世話してもらった際の感謝の書、徳川家献上薬であった人々から重宝された胃腸薬に近い効能の奇応丸の製造販売を広めた九代高瀬新助居達の肖像画なども展示。藤村の生きた時代の背景を知ることが出来る貴重な資料館。関所と合わせて立ち寄ってほしいです。

木曽と日本酒が大好きな人々が生み出した愛のある日本酒

街歩きを楽しんでいるとあちらこちらに見かける暖簾、中乗(なかのり)さん。途中、行人橋からの木曽川の眺めも楽しみながら木曽福島駅方面に約1キロ、杉玉と青い暖簾が目印のお店、蔵元中善酒造店です。蔵見学・試飲も可能。美味しい日本酒の3大要素は水・米・風土、そして最も大切だと言えるのは木曽・日本酒を愛する気持ちを忘れないこと。近隣の井戸から湧く御嶽山系の伏流水、厳しい基準をクリアした長野県産米・自家栽培米の木曽郡上松町産の「ひとごこち」、そして愛情が注がれて出来た日本酒はまた飲みたいと恋しく思わせる美味しさでした。

『木曽のナァー なかのりさん』でお馴染み、木曽が誇る木曽節

夏季には木曽福島で木曽踊りと木曽節を見ることができます。全国に知られる木曽踊りは木曽義仲の供養のためにおこなわれるが、木曽節は「おんたけ節」に木曽檜を筏に組んで川を下る筏師(なかのりさん)の労働歌「なかのりさん節」などを取り入れたものです。甲冑を付けていても踊れるよう振り付けは簡単である必要がありました。夏の風物詩として観光客に大変人気があります。

江戸の香りが残る、木曽路一古い老舗旅館

木曽の旅を楽しんだ後は、創業350年もの歴史を持つ老舗旅館いわやへ。中山道・福島宿中心に位置し各地観光スポットへのアクセスも良好。幻の魚・いわなや木曽の美味しい食材を贅沢に使った木曽路懐石料理は絶品。一緒にいただいた香り高い地酒はお食事を更に美味しく感じさせます。夕食後は楽しみにしていた木曽桧風呂へ。江戸時代、『木一本首一つ 枝一本腕一つ』と言われ、重宝され続けた木曽の木材を使用しての木曽桧風呂はなんと贅沢なことでしょう。木の香りがとても良く、眺望露天風呂からは山々や木曽川が眺められ、心が思いっきり癒されました。

木曽の歴史を辿りながら木曽馬と触れ合う、木曽馬の故郷

御嶽山の麓、標高約1000メートルに広がる開田高原へ。夏は避暑地・リゾート地として、冬はほぼ北海道と同質の雪が積もると言われ、スキーを楽しむのに最適なスポット。開田高原にある「木曽馬の里」では現在、日本在来馬・木曽馬に出会えます。乗馬体験をしましたが、愛嬌があり可愛かったです。小型・胴長・短足で、後ろ足がX状になっていて急峻な山道にも強いのが特徴。性格は大人しく女性でも世話できる農耕馬であり、領民の農耕・運輸にも大いに役立ちました。第二次世界大戦以降激減、数千頭いた木曽馬は全国でも100頭を数える程。時代の苦難と共に生きてきたんですね。皆さんも木曽馬とともに暮らす木曽の人々の歴史を感じながら、木曽馬の里で馬と触れ合ってみては。

自家製蕎麦粉で作る開田特産そば『中西屋』

バス停馬追の目の前にある民家風なお蕎麦屋さん。木曽旅の最後の昼食にそば処中西屋へ。開田高原はそばの特産地とされています。昼夜の寒暖差が大きい為、香りが良く良質なそば粉が生産されるからです。店内は落ち着いた雰囲気、天井は高く開放感があります。畳の和室もあり、和の雰囲気・香りを楽しみながらお蕎麦をいただきました。御嶽山麓水系の水で作った開田特産ざるそばはシンプルかつ上品な味わい。お蕎麦は香り高く、大変美味しいです。なんだか懐かしく安心するような味でした。

モデルコース

1.山村代官屋敷
徒歩15分
2.福島関所跡
徒歩1分
3.高瀬家
徒歩15分
4.酒蔵
徒歩10分
5.いわや
車30分
6.木曽馬の里
車10分
7.手打ちそば(中西屋)